どんな病気?
肝臓と同じ管で十二指腸とつながった、化学物質(ホルモンや酵素)の分泌を調節している消化器を膵臓と呼びます。この膵臓が炎症を起こした物が膵炎です。
膵臓が分泌する化学物質は多くの種類があります。糖尿病で有名なインスリンも膵臓から分泌されるホルモンです。膵臓は食べ物を消化する酵素(例:トリプシン。厳密にはトリプシノーゲンという不活性化している状態)も膵液として分泌していますが、何らかの原因で消化酵素が分泌前に膵臓内で活性化し、自分の臓器を消化することで症状が出る病気です。
猫が膵炎になるはっきりとした原因は不明ですが、一部の寄生虫や毒物、また交通事故等の外傷によって膵炎になり易くなるとされています。
膵炎は急性膵炎と慢性膵炎に分かれ、急性膵炎の方が重度な症状が出ます。
症状と診断は?
惰眠、下痢、嘔吐、腹痛、食欲不振等が臨床症状として現れますが症状自体がまちまちで、食欲不振しか症状が出ない時もあります。消化酵素によって近くにある肝臓を侵し、黄疸が現れる事もあります。
重度になると消化酵素が血液内に入り、全身的な炎症(SARS)やDIC、敗血症になって亡くなる事も多々あります。
診断方法は総合的な臨床症状と一般的な血液検査(CBC・生化学的検査・電解質検査)に加え、特殊な血液検査(猫膵特異的リパーゼ:Spec fPL検査)を行います。
治療法は?
膵炎に対する特異的な治療法は確立されておらず、入院して対症療法(輸液、抗凝固剤や抗生物質の投与等)を行います。
お家で気をつける事は?
膵炎は症状だけでは診断が困難な上に重度になると亡くなるケースも多いので、猫の元気が無ければすぐに病院に行って検査してもらいましょう。