第28回「痛み」
2007/10/15
10月に入りかなり涼しくなりましたね。残暑が厳しかったこともあり、夏が長く秋が短い気がしますね。
さて、今回のテーマは「痛み」です。ワ ンちゃんネコちゃんにも「痛み」はあります。しかし、その痛みの場所や程度を人が適切に把握するのは難しいのではないでしょうか?医学では、適切な疼痛管 理により傷の治りが早くなること、また、手術前に鎮痛処置を施していれば術後の痛みが最小限で済むこと、そして慢性的な痛みを除去すれば患者の生活の質を 向上させることができることが常識とされています。ワンちゃんネコちゃんは物を言わぬ動物ですから、獣医師は「痛み」に関心を払わないといけないでしょ う。
1.「痛み」について簡単に解説します。
痛みには「鋭痛」と「鈍痛(炎症痛など)」があります。どちらの痛みもその部位から脊髄に伝達され、そして脳へと伝わり、痛みとして初めて認識されます。
鋭痛と鈍痛の違いは?
「鋭痛」…脳への伝達速度は速いが、痛みを抑制しようとする力が働き長時間続かない。
例:蜂に刺された直後 など
「鈍痛」…脳への伝達速度は遅いが、痛みを抑制しようとする力が働かないので長時間続く。
例:歯の痛み、内臓の痛み など
次に「炎症痛」についてです。脳への伝達の仕方は鋭痛、鈍痛と変わらないのですが、脳に伝わってから感情を左右する所にも伝わるため、嫌悪感、怖れ、イライラといったものも一緒になって現れるため痛みを増幅させてしまいます。
2.痛みを和らげるには?
一 般的に鎮痛剤を使用し、痛みを管理します。炎症は生理的なからだの反応でもあるので完全に痛みを無くしてしまう必要はありません。しかし、増幅する痛みや 継続する痛みは生活の質を落としてしまいます。このような場合は痛みのコントロールを積極的に行う必要があります。獣医療の世界では、痛みを増幅させない ことを大切にし、また関節痛などの慢性的に続いている痛みの場合はそれらを和らげることを考えています。また炎症痛によるイライラといった感情的なものを 取り除くことで、鎮痛剤の量を減らせると考えられています。
最後に… 痛みとは病気を発見するサインと考えることもできます。そのサインを見つけ、そして痛みを和らげることによりワンちゃんネコちゃんの生活の質を向上させることができるのではないでしょうか。
by。 ZEPP