こざわ犬猫病院

犬・猫のがん治療

犬・猫のがん治療 について

どんな病気?

がんとは、大量増殖したがん細胞によって引き起こされる病気です。犬・猫の体内にがん細胞が存在するのは自然なことで、それはがんではありません。
ポイントは大量増殖しているということです。一般的に何百~何十億個ものがん細胞があるような状態のことをいいます。

症状は?

がんが発生する場所によって症状が異なってくるため、がんの種類別に解説します。

乳がん

乳がんとは、乳腺ががん化してしまう病気です。主にメス犬・猫に発生するがんで、オスはほとんど発生しません。
女性ホルモンの量が影響しており、避妊手術をした犬・猫は女性ホルモンが抑えられ発生確率が低くなります。
症状は、初期段階では胸~腹部にしこりが見つけられます。症状が進行すると腫瘍が肥大して皮膚が裂けて出血・化膿することがあります。
また、リンパ節や肺に転移することがあり、そうなると治癒率はかなり低下します。

肥満細胞腫

肥満細胞腫は免疫を担当する肥満細胞(マスト細胞)ががん化してしまう病気です。
頭部や首のまわりなどの皮膚に発生する「皮膚型肥満細胞腫」と脾臓や肝臓、小腸などの内臓に発生する「内臓型肥満細胞腫」があります。
肥満細胞はヒスタミンを放出する能力を持っています。がんになるとヒスタミンが大量放出されて胃潰瘍になったり、場合によってはショック死してしまう可能性があります。
皮膚にできるタイプが多く、皮膚にしこりができることが多いです。

悪性リンパ腫

悪性リンパ腫とは、白血球のうちのひとつであるリンパ球ががん化してしまう病気です。
リンパ系組織(リンパ節、脾臓、胸腺など)に発生しやすいものの、身体中のどの部位にも発生する可能性があります。
症状としては、食欲が減る、体重が減る、元気がない、嘔吐・下痢、痩せてくる、呼吸が早くなったり息苦しそうにする、リンパ節が腫れるなどがみられます。

扁平上皮癌

扁平上皮癌とは、扁平上皮細胞ががん化してしまう病気です。です。口や鼻腔内、足先、肛門など発生することが多いです。
症状としては、口臭がきつくなる、血が混ざったよだれを垂らし、口の周りが汚れる、食欲がなくなる、首にしこりができる、潰瘍やただれができる、爪の変色、爪が取れて出血するなどがみられます。

原因は?

がんは、がん細胞が大量増殖することで引き起こされます。
がん細胞は正常な細胞が様々なストレスを受けているうちに変化して発生すると考えられています。ある程度のダメージであれば自然に修復してくれますが、一定以上のダメージを受けるとがん細胞へと変異してしまいます。
具体的には、「老化やストレスなどによる免疫力の低下」や「化学薬品・たばこの受動喫煙・紫外線・放射線などの外部からの有害物質の摂取」などによりがん細胞の増殖が進み、がんへとつながってしまいます。

治療方法は?

 

手術

手術は、メスを使って腫瘍を切除する治療法です。
がん細胞を取り切ることができれば根本的な治療になります。デメリットは、全身麻酔が必要なこと、メスを入れるため身体への負担が大きいこと、切除した部位によっては臓器の機能が失われるため後遺症が残る可能性があることなどです。
現在、金属メスに代わってレーザーメスが徐々に普及してきています。レーザーメスは手術時の出血量をかなり抑えることができるため、輸血量を不要にしたり、手術時間を大幅に短縮できます。技術の進歩によって負担を少なくした手術ができるようになってきています。

抗がん剤治療

抗がん剤治療は、抗がん剤によってがん細胞を死滅させたり、増殖を抑えたりする治療方法です。
メリットは、転移が広がっているがん・血液のがんでも治療可能なこと、全身麻酔がいらないこと、手術では対応できながんに対応可能なことなどです。デメリットは、副作用が大きいこと、抗がん剤への耐性ができてしまい効果が限定されること、食欲減退や嘔吐により体力が低下してしまうことなどです。
リンパ腫は手術では対応ができませんが、抗癌剤が反応しやすい珍しいタイプの癌です。副作用に耐える体力があれば、抗癌剤治療は効果的です。

放射線治療

放射線治療は、腫瘍に放射線を照射する治療法です。
メリットは、身体を切除しなくてよいため手術と比べ負担が少ないこと、手術が難しい体の奥や脳の腫瘍などでも治療ができることなどです。デメリットは、転移したがんには適応がないこと、全身麻酔が必要なこと、治療しても転移・再発する可能性が残ること、副作用があることなどです。

まとめ

今回はがんについて説明いたしました。がん細胞は様々なストレスを受けることで増殖し、がんへと発展していきます。
がんの重症化や転移などする前に早期発見することが大切です。体のどこかにしこりがある、食欲・体重が減るなどの体調不良がある場合はすぐに診察をしましょう。

 

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