こざわ犬猫病院

ユリ中毒

ユリ中毒 について

猫はユリに含まれるステロイド性グリコアルカロイドでユリ中毒をおこします。
ユリはミトコンドリアの機能と細胞のエネルギー生成を妨害し。
近位尿細管細胞の変性、壊死による急性腎不全、膵腺房細胞の変性を発症します。
猫が少しでもユリを食べたら。直ぐに積極的な輸液療法を開始する必要があります。
ユリのすべての部分が有毒ですが、花が最も有毒です
花粉や花瓶の水にわずかに食べた場合でもユリ中毒をおこします。
猫が複数のユリの花を食べると、数時間以内に死に至ります。
ユリを食べた場合は後 直ちに積極的な輸液療法を開始する必要があります。
猫はユリが好きで自分で探して食べてしまいますので、
猫の生活域には絶対に置かないでください。

目次

中毒を起すユリ属は?

犬はユリ中毒をおこしますか?

ユリ中毒の原因

ユリ中毒の致死量

ユリ中毒の症状

ユリ中毒の治療

ユリ中毒の死亡率

猫のユリ中毒を防ぐにはどうすればよいでしょうか?

猫に有害なテッポウユリ 。猫はユリのどの部位を食べても死に至ります。猫の生活環境にはユリを置かないでください
猫にユリ中毒をおこすテッポウユリ

中毒を起すユリ属は?

ユリ科には 160 属以上ありますが。猫にユリ中毒をおこすのは、
ユリ属とヘメロカリス属(ニッコウキスゲ)に属する植物のみです
ユリ中毒を起こすユリ属;
ヘメロカリス属 H. dumortierei / H. fulva (ニッコウキスゲ)、
H. grminea (オレンジ色のニッコウキスゲ)、
H. sieboldii (初期のニッコウキスゲ)。
ユリ属 L. asiatic (アジアのユリ)、L. elegans (アジアのハイブリッドユリ)、
L. lancifolium (オニユリ)、L. longiflorum (テッポウユリ)、
L. orientalis (スターゲイザー ユリ)、L. speciosum (ショウユリ)
L.スペシオサム変種。ルブルム(ルブルムユリ)、
L. umbellatum(アカユリ、西洋ユリ、ウッドユリ)
国動物毒物管理センターサイト☛ASPCA 動物毒物管理センター
ご自身のスマホでユリの種類を調べましょう
クリック➡花の名前を調べる

犬はユリ中毒をおこしますか

ネコ亜目以外の動物では、中毒の報告はありません

日本の動物園でミーアキャットのユリ中毒の報告がありますので、
ネコ亜目に限定した中毒のようです。
ミーアキャット ( Suricata suricatta ) のユリ中毒症の疑い: 症例報告

ユリ中毒の原因

ユリに含まれるステロイド性グリコアルカロイドが、ミトコンドリアを標的としており、
ミトコンドリアの機能と細胞のエネルギー生成を妨害し。近位尿細管細胞の変性、
壊死および膵腺房細胞の変性を発症します。

致死量

すべての部分が有毒ですが、花が最も有毒です。
猫がユリにわずかに曝露した場合でも危険です。猫はユリの花を複数摂取すると、
12 ~ 36 時間以内に急性腎不全を引き起こし、3 ~ 5 日以内に死亡します。
ユリの花粉への曝露やユリの花瓶の水を摂取した後の腎損傷も報告されています。
猫は、ユリに惹かれるようで、植物や花が一見近づきにくい場所に置かれている場合でも、
自分で積極的にユリを探し求めているようです。

症状

ユリ中毒の症状は 2 時間以内に嘔吐、嗜眠、食欲不振がおこります
症状が一時的に治まる場合もありますが、腎障害が進行すると
12 ~ 24 時間以内に症状が再発します。その他に、腹痛、
唾液分泌過多、運動失調、振戦、横臥位、発声、脱力感、多飲、
多尿、乏尿、無尿、発作があります。

検査所見
血液検査所見:高窒素血症、高カリウム血症、高リン酸血症。
X線検査で腎臓が拡大して見える場合があります。
尿毒症に続発して肺水腫が認められることもあります。
超音波検査:腎肥大、腎周囲浮腫や空洞滲出液が認められる場合もあります。

治療

早期かつ積極的な治療が生存のために非常に重要です。
すでにユリ中毒症状を示している場合は、入院によって腎損傷の治療をおこないます。
嘔吐誘発処置;ユリを嘔吐していない時は、嘔吐を誘発させますが、半数の猫しか嘔吐しません
活性炭の投与:活性炭  は、嘔吐誘発後、または嘔吐しなかった場合 毒素 の吸着剤として投与します。
腎不全の予防/管理
腎臓を保護するために輸液を投与しますが。すでに症状が出ている場合は
皮下輸液投与だけでは不十分ですので、入院して静脈輸液を行います。。

猫のユリ中毒の死亡率は?

2004 年の研究では、猫のユリ中毒の死亡率が 50 ~ 100% であると報告されました。
摂取後 18 時間以内に積極的な輸液療法を開始すると、死亡率は下がり、
治療が 遅れると、重篤な予後をもたらすとしています。
2013年発表のユリ中毒25匹を調べた論文では、早期の積極的治療で全頭回復しています。
ユリの摂取が知られている猫における胃腸管の除染と静脈内輸液利尿後の転帰: 25 例 (2001 ~ 2010 年)

猫のユリ中毒を防ぐにはどうすればよいでしょうか?

ユリ中毒を防ぐ最善の方法は、猫をユリから遠ざけることです。
猫を飼っている方はユリを家に持ち込まないでください 。
外に出入りできる猫を飼っている場合は、庭にユリを植えないでください。

早期の治療が重要です。直ぐに病院に連絡してください。

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